「Laceration」- KAKI - ここから展2025

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作家名：KAKI
タイトル：「Laceration（ラセレーション）」
表現方法：油彩、墨汁、和紙
サイズ：横606mm×縦727mm

【作品について】
時間の痕跡は都市の肌に刻まれる。本作の着想は、鷹の台駅付近の広告板にある。日常の中で静かに存在する、剥がされたポスターの痕跡には独特の美しさが宿っている。残された紙片や錆、汚れは都市の記憶の断片のようで、無意識に生まれた裂け目の形が抽象的で表現力豊かな構図美を生み出している。和紙をキャンバスに貼り付け、自由に剥がすことで、これらの痕跡が持つ手触りや視覚的な衝撃を再現し、観る者に都市の表面に刻まれた時間と空間の印を感じてもらうことを意図した。元の情報が失われた欠落の中で、新しい画面がひっそりと誕生し、この瞬間の都市の痕跡を記録する。これらの裂け目は、都市が絶えず更新されていく様子のようであり、老人の顔に刻まれた皺のようでもあり、都市の皺であり、都市の経験の痕跡でもある。このような制作手法を通して、日常の中で見過ごされがちな細部を視覚言語に変換し、観る者に都市・時間・記憶が交錯する感覚を届けたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

【略歴】
中国深圳出身。
武蔵野美術大学油絵学科グラフィックアーツ専攻在籍中

【展示・受賞歴】
2024年：公募展「動物の惑星 vol.3」
2025年：グループ展「Fragments from within」

【創作活動への思い 】
昔から動物や自然に強く惹かれ、観察や表現を通じて自身の内面の感情や思考を探求してきました。現在は版画や油画を用い、愛着のある動物や内面の感情を題材に、心の葛藤や喜び、孤独や安らぎを可視化する表現に取り組んでいます。作品は主に単色で暗い色調を基調とし、そのシンプルな色彩と陰影の中で感情や心理を際立たせることを意識しています。また、日頃の創作においても、偶然性やランダムな要素を取り入れることを大切にしています。伝統的な石版画や銅版画の技法に加え、デジタル技術を取り入れた複合的な表現方法で作品の幅を広げています。大学ではさらに版画技法を深く学び、多様な表現方法を身につけることで、自身の内面をより深く理解し、観る者に感情や心の機微を伝える創作活動を続けたいと考えています。